栄養学への疑問
私たちが教えられた栄養学は、一日に熱量はいくら必要、蛋白質はいくら、それも、なるべく良質の動物性でなければならぬ、というものでした。だから、その栄養を摂取するために、どうしても御馳走をしっかり食べねばなければいけませんでした。
幼少から、体が弱かった私は、美食と言われるものをたくさん食べてきました。栄養をつければ元気になれるとし信じてきたので。でも、一向に健康にはなれませんでした。
私の周りには、私と同じように、いろいろな種類の食事をしながら、不健康な奴らがたくさんいました。「なんだろう!この矛盾は?」幼心にそう、思っていました。
そんな思いから、随分若いときから色々な健康法を試してきました。私の体質改善に役立ったものは、そのうちの1%も満たないとても少ない確率でしたが、そのうちの一つに「正食(マクロビオテック)」があります。現代栄養学に矛盾を感じていた私は、「美食飽食は多病短命のもと」であり、「玄米や粗食小食は健康長寿のもと」だという考え方にとても共感できました。
マクロビオテックの考え方として下のような価値観があります。
1.身土不二(しんどふじ)
2.一物全体(いちぶつぜんたい)
3.陰陽補瀉(いんようほしゃ)
身土不二とは「その人が生まれ育った国や地方でできた食べ物が、その人の身体に最もふさわしい」という意味です。地球上のどの国にも固有の民族食があり、その食べ物を数百年食べ続けてその民族が繁栄していれば、その食体系は正しいということになります。
しかし、日本の食糧自給率はすでに20%を割っており、私たちにとって身土不二の実践は難しいという問題点を抱えています。(この対応として、旬を重んじて、作物、収穫物、漁獲物の最盛期の、最もおいしくて栄養も豊富な時期に食べるたり、国産の食べ物を大切にいただくことを心がけたいものです。)
一物全体とは「一つの食べ物は食べられる部分を全部食べる」という意味です。魚なら頭、尾、骨、皮、内臓など食べられるところを全部食べるということで、マグロのように大きい魚の一部分しか食べないというのはバランスを欠くということになります。根菜類なら根だけでなく、葉も全部食べるということです。
陰陽補瀉とは「食べる人の体質、状況などにより、陰陽のバランスをとる」ということです。例えば、肉(陽)があれば野菜(陰)を加え、サンマ(陽)には大根おろし(陰)を添えるようにすることです。また、暑い夏(陽)にはトマトや生野菜を多めに摂ってもよいが、
身体を冷やす働きのあるトマトや生野菜、果物(陰)を多めに摂ってもよいが、夏の暑い時期や発熱時の体温が上がった時の熱さましとして、寒い冬(陰)には身体を暖める温野菜や鍋物(陽)のほうが良いのです。身体の弱っている人や老人(陰)には、身体を暖める料理法(陽)が良いと言う考え方です。
以上の三つの考え方は、現代では汚染の問題や日本の食料事情から、実践が難しい状況になっていますが、皆さんの食生活を考え直す時の参考になさってください。
参考までに、食べ物の陰陽の表を用意させていただきます。
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